年代や職業などによる傾向tendency
不眠症になりやすい職業
コンピュータをよく使う方は、眼精疲労から来る緊張が強まりやすい傾向があります。
緊張が強いと、睡眠の質が悪くなったり入眠の障害が起こったりと、睡眠におけるトラブルが起こりがちです。
これはコンピュータ以外でも、精密機械を扱っている方、製造などをしている方など、仕事上細かい字を見ることが多い方全般に言えることです。
また、人間の体内時計は25時間であり、朝に光を浴びるとリセットされるという性質があります。
そのためシフト勤務で生活時間が不規則な方や、深夜勤務など夜間型の勤務体系の方も睡眠障害になりやすい傾向が見られます。
学生に多く見られる睡眠相後退症候群とは
不眠症の症状の一種に「睡眠相後退症候群」というものがあります。
これは現代の学生層に多く見られ、「朝起きて夜眠る」という本来あるべき生活リズムと、実際の生活時間の乖離が大きくなって障害が出てくるという状態です。
研究などで極端に忙しい学部の学生は別ですが、時間にある程度ゆとりがある学生生活を送っている方は、体内時計のリズムがずれてだんだんと寝る時間が遅くなり、どうしても朝起きられないという状態に陥る場合があります。
体内時計は本来25時間の長さですが、朝の太陽の光を浴びることによって24時間に修正されます。
このリセットが行われないことによって、毎日1時間ずつ体内時計がずれていき、深刻な夜型リズムになってしまうのです。
スマートフォンやタブレットなどを深夜まで見続ける風潮も症状が悪化する一因です。
子育て中の女性と不眠症
仕事をしながら子育てをしている女性の多くは、お子様の時間帯に合わせて行動しながら自分の仕事や家事などを回す必要があるため、睡眠時間が物理的に制限されがちです。
睡眠に神経質になると、それに囚われてしまって睡眠に入りづらいということが起こりやすくなります。
また「子供を早く送り出さなくては」「お弁当を作らなくては」といった気持ちが働いて早朝覚醒を意識することによって、深く眠れなかったり、一度目が覚めてしまうとその後眠れなくなってしまったりということもあります。
お子様が新生児や乳児の時期、夜間に起きて授乳などのお世話をするのはどうしても仕方のないことなので、睡眠障害との線引きが難しいところです。
ただ、睡眠のトラブルによってうつ傾向が出てきたり、不安が強まったり、自律神経系の乱れによる動悸や呼吸苦などが出たりするようであれば、なるべく眠気が起こりにくいお薬を使いながらそれらの症状を抑える治療を行った方が良いでしょう。
世代別の傾向
特に30代、40代のストレスのかかりやすい職種の方は、神経症圏、不安障害などが起こりやすい傾向があります。
考え込んでしまう、囚われてしまう状態では入眠障害を、また不安や緊張が強い状態では睡眠の悪化を招き、睡眠障害に悩む方が少なくありません。
さらに上の世代の高齢者層になると、中枢性睡眠時無呼吸症候群が起こるケースが増えてきます。
中枢性の場合は睡眠外来での治療が一般的ではありますが、背景にメンタルが関わる病気が隠れていることも多いため、心療内科にご相談いただくのも良い選択です。
場合によっては、老年期精神障害に区分されるせん妄(意識混濁下で興奮が強い状態)という状態が不眠を起こしている可能性も考えられます。
なお、性別に寄る明確な差は基本的にはありません。