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不眠症の治療therapy

不眠症の治療

不眠症の治療

基本的には日中の不安、緊張がある場合には精神療法によって解消していきながら、症状に合わせたお薬を医師が選択し、それを適切に服用することで治療を進めていきます。
さらに、不眠症においてはウェイトは小さくはなりますが、認知行動療法などを可能な限り取り入れて、リラックスできる環境操作を自己暗示の中で作っていくように示唆する方法も必要に応じて併用していきます。
精神療法と薬物療法については保険の範囲内で診療を受けられます。

ストレスを軽減するために

不眠症の元となるストレスをできるだけ少なくしていくために、現在の生活スタイルをどのように見直せば不眠症の症状が改善されるかを一緒に考えていきます。
仕事に関するストレスに関しては、何がもっとも大きいストレスの元となっているかを考え、可能な範囲で改善を図ります。
場合によっては診断書を作成し、時間外勤務の短縮や、1か月間程度の勤務内容の軽減、時短勤務、勤務開始の時間を遅らせるなどの形で会社側の協力を求める形を取ることもあります。
近年では、精神科領域の病態に対して理解や配慮を示す会社が増えてきているので、そのような方法を取った際に社内で肩身の狭い思いをしたり、退職に追い込まれたりということは昔と比べるとほとんどありません。

一般的な治療期間と通院回数

一般的な治療期間と通院回数

睡眠薬を服用して改善を図っていくという形の治療方法であれば、月1回の通院で十分です。
気になることがあればその都度途中で来ていただき、お薬などを調整していく方向で進めていきます。
ただし、不眠症の状態の背景に何か病態があることが認められる場合には、2週に1回程度の来院をお願いしています。
個人差はありますが、認められる症状が不眠症だけの場合、お薬を使えば大体2週間程度で症状自体は消えます。
その後、2か月ほどかけてお薬をやめても症状が出ないという状態を目指していきます。
不眠症だけではなく、背景に何らかの疾病がある場合は、寛解まで比較的長期の診療となる場合が多くなります。
特にうつ病の方だと年単位になることも少なくありません。診療は基本的に保険内で行います。

睡眠薬の種類

睡眠薬の種類

睡眠薬を利用する上で「依存性があるのかどうか」を心配される方は数多くいらっしゃいます。
不眠症が解決したとしても、その後ずっと薬をやめられなかったらどうしようと思うと、不安を感じる方も多いでしょう。
現在処方されている睡眠薬の主流はベンゾジアゼピン系と呼ばれるものですが、これらの薬は短時間型であればあるほど、反跳性の不眠(薬を急にやめて眠れなくなる状態)が起こりやすいため、長時間型の薬に切り替えてやめていく方法が取られています。
しかし最近では、より依存性の低い非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や、従来の薬とは作用メカニズムが異なるロゼレム(一般名:ラメルテオン)やベルソムラ(一般名:スボレキサント)などに注目が集まっています。
これらの新しい薬は依存性と副作用が少ないとされ、より自然に近く使いやすい睡眠薬として期待されています。

睡眠薬をやめる流れ

睡眠薬の処方の際には、特にやめにくい導入剤系や短時間型のお薬は、やめやすいお薬と組み合わせてお出しするようにしています。
薬を減らしていく段階で、まずやめにくい導入剤系や短時間型のお薬の方を先にやめてから、その後にやめやすいお薬を減らしていくような形を取ると、自然な形で薬を飲まずに眠れる状態へと戻ることが可能です。

睡眠薬のリスク 依存性の他には?

睡眠薬のリスク 依存性の他には?

睡眠薬が持つ依存性以外のリスクとしては、睡眠薬には筋肉を緩める作用があるため、ふらつきや転倒に繋がりやすい点が挙げられます。
また、入眠導入剤だけを使う場合には、飲んだ後に意識が飛んでしまう「ブラックアウト」という状態に陥る方がまれにいらっしゃいます。
そのような時には処方するお薬を変えることで再発を防ぎます。

不眠症の治療を先延ばしにするリスク

一般的な病気と違って、不眠症は日や環境によっても症状が変わりますので、治療を先延ばしにしがちです。
しかし睡眠時無呼吸症候群が背景にある不眠の場合は、病態の進行が強くなることがあるため、早めの治療が不可欠です。
また不安障害やうつ病をお持ちの方も、睡眠トラブルを抱えた状態で仕事を続けているとよりストレス度が上がるので、早めに治療をスタートしなければそれだけ完治までの時間が長くかかります。
特にうつ病は、ストレス性の不安障害や神経症性障害などと比べると、治りが極端に悪くなることがあり、最悪の場合は治らないケースも見られます。

日常生活でできる不眠対策

睡眠薬の力を借りるだけでなく、普段の生活に少し工夫をすることで不眠症の対策が可能です。
今日から始められる、睡眠の質を高めるための具体的な方法をご紹介します。

強い光

コンピュータやタブレット、スマートフォンなどをつい長時間見てしまう方は、寝る前は画面を閉じてしばらく時間をあけましょう。
落ち着いた光の中で過ごすことによって体の寝る準備が整います。

アルコール

寝酒は不眠症に悪影響を及ぼします。
お酒を飲むこと自体をやめる必要はありませんが、適量を守り、飲んですぐに寝るのではなく1~2時間ほど時間が経ってからベッドに入ることが大切です。

生活リズム

睡眠の質を上げるうえで大きな意味を持つのは規則正しい生活です。
休日だからと遅くまでだらだらと寝ることは避け、一週間を通じて同じ時間に起きる生活リズムを習慣づけましょう。
体内時計は1日25時間ですが、朝の光を浴びると24時間という実際の時間とのずれがリセットされます。

食事

胃腸を含めた体全体をしっかりと休ませるために、寝る時間の3時間前には食事を済ませておくことが良質な睡眠のために効果的です。

入浴

ある程度体温が下がってからベッドに入る方がスムーズに眠りにつくことができます。
熱いお風呂が好きな方はお風呂から上がって寝るまでに数時間ほど余裕があるようにバスタイムのタイミングを取りましょう。
睡眠やストレスの改善を目指す間だけでも、お湯の温度を下げたり半身浴を取り入れたりと、ぬるめのお湯にゆっくりとつかる習慣を心がけるのも一つの方法です。